境川近邊

境川はこれでも以前に比べれば綺麗になつたのだと。昔はどぶ川だつた。今はただの整備された詰らない都市河川に過ぎない。相模原は臺地で、周圍に比べて土地が高いが、低い土地と高い土地の境は崖になつてゐる。相模川の方は横山と言つて延々崖が連なつてゐるが、境川の方にもそのミニチュア版がある。相模原市側から町田市側に下りて行く道はみな坂道で、未だに整備が進んでゐない。住宅が増え、交通量も増えて、數少い坂道は貧弱ながらもどれも未だに「生きてゐる」けれども、中には半死半生の坂道もある。京王線の脇には橋本の變電所から來てゐる高壓電線があつて、邊は鐵塔銀座になつてゐる。鐵塔は好きな人には好きで好きで堪らないらしいし、適當に寫眞を撮つてもそれなりに見ばえがするから素人にはありがたいもの。ただ、近所の人間にとつて高壓線はテレビの電波が惡くなる原因だから困りものである。