闇黒日記?

にゃもち大いに語る

竹内好譯『魯迅評論集』岩波新書

林語堂が「フェアプレイ」が今の中國には必要だと書いた時、魯迅が反對して「水に落ちた犬、大いに打つべし」と書いた。さもありなん。

 

時代は共産主義以前の中國。魯迅は革命志向の文人で、だから竹内好なんかが岩波新書で譯してゐるわけだが、「今はまだフェアプレイの時代ではない」等と言つてゐるものの、「今」が今でなくなつた未來にはフェアプレイを認めるかと言へば、到底そんな事はあり得ない。

毛澤東の戰術論なんかもさうだが(これも岩波新書で飜譯あり)、兔に角「敵に勝つ」のが最優先の時代――と言ふより、さう云ふイデオロギーの論者の文章なのであつて、ほぼ當座の敵を叩き潰すのを目標としてゐる事に注意しなければならない。

 

文章そのものがターゲットを叩き潰す目的で書かれてゐるのと同時に、特定のターゲットを叩き潰す目的でも書かれてゐる、それだけの二重性があるに過ぎない。深みもクソもなく、つまらん文章だ。

 

※「「フェアプレイ」は見合わすべし」(1925年)