闇黒日記?

にゃもち大いに語る

梅原猛・埴原和郎『アイヌは原日本人か』

梅原猛・埴原和郎『アイヌは原日本人か』(小学館創造選書)より

p.200

<引用>
 ……とくに初めて日本語の科学的研究を試みたのは本居宣長で、彼は当時として能うる限りの努力をはらって、七、八世紀の文献にでてくることばを全部分析して、そして語源を比較研究して、だいたい意味を付けた。
 そのあといろいろな研究がありますが、いまの日本の国語学の研究は、宣長の研究の延長線上に成り立っている。(梅原猛)
</引用>

 縄文人から分かれてアイヌ、和人、琉球人がそれぞれ成立した、同じやうに、繩文の頃の言語から分かれてアイヌ語、日本語、琉球語が成立した、と、さう云ふ作業假説を立てて研究をしてみてもよいだらう、と云ふ話をしてゐる。しかし從來、アイヌと日本人とは全くの別民族でありアイヌ語と日本語とは全く別系統の言語である、と研究の大家が斷定したがゆゑに、それぞれの兩者の關係を考へる研究が出現しなかつた。これからは考へ方を改めるべきである。云々。今となつてみればそれほど奇妙な事は言はれてゐないのだが、一九八〇年代の頭頃まではまだまだ偏つた考へ方が殘つてゐたのである。